2008.05.25 Sunday
「お仕事、がんばってください」
雨ですね〜。
太陽が大好きな僕としては、こんな日は、ちょっとだけ悲しくなります。
今日は、久しぶりにお休みしようかと思ってたので、余計に。
こんな日にふと、ある日の電話の話を思い出しました。
今日は、そのお話を。
近頃、いろんなところからお電話をいただく。
出版関係の方からであったり、
保険の営業関係の人であったり、
何かのセールスであったり、いろいろだ。
中には、ミシマ社で働きたい、と突然、申し出くださる方もいる。
ありがたいことだ。
そんなふうにして、いろんな方とご連絡いただくのだが、
ときどき、「よくわからない」こともある。
なにがよくわからないかと言うと、
これが、セールスなのか、それとも、もしかして僕が知らないだけで、
「とても重要な」電話なのかもしれないことが。
受話器をあげると、女性の声が聞こえてきた。
「2、3分よろしいでしょうか?」
芯のある声に、しっかりお姉さん系の女性を想像する。
それに、この問いかけ。
今から思えば、狡猾というか絶妙だと思う。
決して威圧的ではない。むしろ、控えめなトーンなのに、声には芯が通っている。
そんなふうに、「2、3分よろしいでしょうか?」
と言われて、Noといえる日本人はどれほどいるだろう?
正直、その時の僕は、かなり時間に追われていた。
2、分も失いたくなかった。
けど、気づけば「はい」と答えていた。
我ながら、情けないことだ。。
そして、「その声」で、何やら説明が始まった。
聞くと、どうやら、動画を使って、ネットで企業宣伝をしてみないか、ということらしい。
「動画で企業のそのままの思いを伝えていただくことで、
採用活動などにも大変効果的で、有利に進めることができます」
「はぁ」
けど、それって、採用活動に重点を入れている会社にとって、ですよね。
弊社では、採用活動をするつもりはありません。
その旨を伝えると、さすがの彼女も少しひるんだのか、
「そ、そうですか」と言葉を一瞬詰まらせた。
けれど、それくらいでひるむような「相手」ではない。
「今後もずっと採用活動はされないのですか?」と、すぐに切り返してくる。
「はい、そのつもりです」
「そうですか、ただ、採用活動以外にも、企業PRにも有効です」
と、まだ食いついてくる。「相手」はなかなかに手ごわい。
「動画ですと、ダイレクトに、会社の理念を伝えることができ・・」
「すみません、、会社をアピールするつもりもないんです」
「会社名を広めるおつもりはないと?」
「うー、特にそういう意思はありません」
「そうですか」。
さぁ、次はどの手でくるんだ。
こうなったらとことん付き合おうじゃないか。
僕もすこし開き直ることにした。
そして、次の「一言」に耳をすました。
「では、お仕事がんばってください。
ありがとうございました」
これまでのピんと張った声の張りが、
少しだけ緩み、やわらかな響きになっていた。
そして、こう言って電話は切れたのだ。
「お仕事がんばってください」
は、はい。
実際、そう答えたかどうか、定かではない。
しばし、狐につままれたような感覚状態にあった。
やがて、放心状態から目をさますと、
いかんいかん、と頭をふった。
そうだ、目の前の仕事に戻るのだ。
おねえさんの言うとおりじゃないか。
僕がやることはただひとつ。
お仕事をがんばる。
それだけだ。
けれど、見ず知らずの女性から、
どうして
「お仕事がんばってください」と言われなければならないのだろう?
数週間たった今も、謎は深まるばかりだ。
太陽が大好きな僕としては、こんな日は、ちょっとだけ悲しくなります。
今日は、久しぶりにお休みしようかと思ってたので、余計に。
こんな日にふと、ある日の電話の話を思い出しました。
今日は、そのお話を。
近頃、いろんなところからお電話をいただく。
出版関係の方からであったり、
保険の営業関係の人であったり、
何かのセールスであったり、いろいろだ。
中には、ミシマ社で働きたい、と突然、申し出くださる方もいる。
ありがたいことだ。
そんなふうにして、いろんな方とご連絡いただくのだが、
ときどき、「よくわからない」こともある。
なにがよくわからないかと言うと、
これが、セールスなのか、それとも、もしかして僕が知らないだけで、
「とても重要な」電話なのかもしれないことが。
受話器をあげると、女性の声が聞こえてきた。
「2、3分よろしいでしょうか?」
芯のある声に、しっかりお姉さん系の女性を想像する。
それに、この問いかけ。
今から思えば、狡猾というか絶妙だと思う。
決して威圧的ではない。むしろ、控えめなトーンなのに、声には芯が通っている。
そんなふうに、「2、3分よろしいでしょうか?」
と言われて、Noといえる日本人はどれほどいるだろう?
正直、その時の僕は、かなり時間に追われていた。
2、分も失いたくなかった。
けど、気づけば「はい」と答えていた。
我ながら、情けないことだ。。
そして、「その声」で、何やら説明が始まった。
聞くと、どうやら、動画を使って、ネットで企業宣伝をしてみないか、ということらしい。
「動画で企業のそのままの思いを伝えていただくことで、
採用活動などにも大変効果的で、有利に進めることができます」
「はぁ」
けど、それって、採用活動に重点を入れている会社にとって、ですよね。
弊社では、採用活動をするつもりはありません。
その旨を伝えると、さすがの彼女も少しひるんだのか、
「そ、そうですか」と言葉を一瞬詰まらせた。
けれど、それくらいでひるむような「相手」ではない。
「今後もずっと採用活動はされないのですか?」と、すぐに切り返してくる。
「はい、そのつもりです」
「そうですか、ただ、採用活動以外にも、企業PRにも有効です」
と、まだ食いついてくる。「相手」はなかなかに手ごわい。
「動画ですと、ダイレクトに、会社の理念を伝えることができ・・」
「すみません、、会社をアピールするつもりもないんです」
「会社名を広めるおつもりはないと?」
「うー、特にそういう意思はありません」
「そうですか」。
さぁ、次はどの手でくるんだ。
こうなったらとことん付き合おうじゃないか。
僕もすこし開き直ることにした。
そして、次の「一言」に耳をすました。
「では、お仕事がんばってください。
ありがとうございました」
これまでのピんと張った声の張りが、
少しだけ緩み、やわらかな響きになっていた。
そして、こう言って電話は切れたのだ。
「お仕事がんばってください」
は、はい。
実際、そう答えたかどうか、定かではない。
しばし、狐につままれたような感覚状態にあった。
やがて、放心状態から目をさますと、
いかんいかん、と頭をふった。
そうだ、目の前の仕事に戻るのだ。
おねえさんの言うとおりじゃないか。
僕がやることはただひとつ。
お仕事をがんばる。
それだけだ。
けれど、見ず知らずの女性から、
どうして
「お仕事がんばってください」と言われなければならないのだろう?
数週間たった今も、謎は深まるばかりだ。