JUGEMテーマ:読書
拙著『計画と無計画のあいだ』の韓国版ができました!
ずいぶんと表紙デザインが変わりましたね。
タイトル文字が躍っている感じがして、なんだか、かわいいです。
ちなみに、ミシマ社ロゴの漫画が表紙にいくつか使われていますが、
顔のひとつには「ミシマ」ではなく、「ハヤシ」と書かれています・・。
巻末には京都オフィスに併設している「ミシマ社の本屋さん」についてのレポートが
韓国版のボーナストラック的に掲載されています。
そこには、店長の鳥居がにっこり笑って登場しています。著者の写真はありません・・・。
以下、韓国版に書き下ろした「序文」を掲載いたします。
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『計画と無計画のあいだ』 韓国版序文に寄せて
初めて韓国を訪れたのは、1992年の夏。高校2年の修学旅行のときでした。大阪南港からフェリーに乗り、釜山港へ。そこでお昼ご飯を食べたあと(韓国での人生初食事!)、バスで慶州へ向かい、韓国の新幹線と当時呼ばれた特急電車に乗り換え、ソウルへ入ったのでした。わずか数日の滞在。それも自由行動すら許されない……。それでも、車窓からの景色、食べ物の辛さと勢い、人々の皮膚やら口やらから発せられる圧倒的パワー、すべてが新鮮でした。それはなにも初めての海外だったからだけではないはずです。
めっちゃ面白かった、韓国!
帰国後、友人たちに何度も語ったものです。高校生の僕は、韓国という場にすっかり魅了されたのでした。
その後、大学生のときに一度行ったきりですが、その滞在でさらに韓国が好きになりました。
どうして僕はこんなに韓国に惹かれるのか?
今回、拙著『計画と無計画のあいだ』の韓国版の序文をこうして書いていて、その理由がはたとわかった気がしています。というのは、今から振り返ってみると、まさにあの頃の韓国のもつ空気が「計画と無計画のあいだ」のものだった。そう思うに至ったのです。
何かがすごい勢いで成長するとき、あまり効率性や計画性を優先していては、伸びるものも伸びない。だからといって、社会のルールや「常識」を無視していいわけがない。その「あいだ」で、できるかぎり伸びやかに動いていくーー。その行為を「計画と無計画のあいだ」と称したわけです。当時、すさまじい経済成長を遂げる韓国にそのパワーを感じたのは間違いないでしょう。また、一市民としても、安定だけでなく冒険を好む気質の人々が多いような気もしています(違っていたらごめんなさい)。そんな韓国とそこに住む人たちの力が、「計画と無計画のあいだ」の原初的パワーを僕に与えた、のかもしれません。
ですので、本書が韓国の皆さまに読んでいただけるというのは、特別な喜びです。グローバル化、企業のコングロマリット化などが止まらない昨今ですが、そういう「大きなもの」に押しつぶされることなく、「一人」の人間として生命力が湧出する日々を送る。そのために、本書が少しでもお役に立つことになれば望外の幸せです。
三島邦弘