エニグモの田中さんがブログで紹介されていたので、
読んでみたら、これはたしかに面白い。
『任天堂 驚きを生む方程式』
ゲームも本も、「ソフトづくり」という点で共通している。
そういう意味で、出版社をやっている人たちには必読といってもいい一冊だった。
とりわけ面白かったのは、
プロデューサー宮本さんの「ちゃぶ台返し」(return tea table)。
任天堂の製品を担保しているのは、実は、
このちゃぶ台返しという「技」だというのだ。
マリオなどの開発者として世界でも「超」有名な宮本さん。
彼は今、全体を統括する立場として、現場からあがってくる
最終案をチェックする役割を担っている。
その宮本さん、最終の最終、どたん場でしょっちゅう「やり直し」を命じるらしい。
そう、料理が並べられたばかりのちゃぶ台をひっくり返すように。
ここで変更をしたら――
納期に間に合わない。
プログラミング自体を修正しなければいけなくなる。
セリフも変わってくる。・・・・etc.
そういう「根本的」な修正がいくつも出てくるのを承知で、
宮本さんは、ちゃぶ台を返す。
真意はシンプル。
ただ、「納得しないまま出したくないから」。
そういうことだ。
こう書くと「そんなの当たり前でしょ」と思われるかもしれないが、
案外、そうではない気がする。
だって、「返す」方がいるということは、「返される」方があるということだから。
どたん場で、やり直しを命ぜれる方はたまったもんじゃない。
けど、それでもやる。
ここに企業としての任天堂の強さがある気がした。
妥協するのは簡単。だけど、絶対に妥協を許さない。
宮本さんのその「覚悟」がこれを可能にしているのだと思う。
当然、ちゃぶ台を返せば反発を食らうこともあるだろう。
憎まれることだってあるかもしれない。
それでも妥協しない。
ちゃぶ台を返すというのは、「憎まれ役」を引き受けるということでもあるのだ。
あの世界的製品の質の陰には、こうした憎まれ役が存在していた。
同時に、それを受け入れるクリエイティブ・スタッフの存在も忘れてはいけない。
つまり。
いい商品を出す会社には、ちゃぶ台を返す人と返される人がいる。
そしてその責務を互いに果たしている。
なるほどー。
じつに学ぶところの多い一冊だ。(弊社では全員必読にしよう)
ひるがえって、わが
ミシマ社はどうなんでしょう?
ちゃぶ台はあるんですけどね。文字通りの(笑)。